スマホ依存が子どもを破壊する
共同体と自然との調和を失った病
依存症とは孤独の病気とも言われています。日本におけるスマホ普及率は、2010年4%から2023年には96.3%に上り、その多くの人たちはスマホを持っているというだけでなく、常に携帯し毎日スマホを使っています。
国内の高校生295人を対象にした「スマホの過剰使用と不眠症・うつ病」との関係に関する研究では、スマホの長時間の使用が、不眠症やうつ病に関連していると報告されています。
また、サンディエゴ州立大学心理学教授ジーン・トウェンジ博士は「10代のうつと自殺の率は急上昇している」と言及しています。
そして、その大半は不安障害が急激に増えたことに要因があり、「i世代は過去数十年でメンタルヘルスがもっとも悪化した世代になりそうだといっても過言ではない」と述べています。
10代スマホ所有率「うつ・自殺」との不吉な関係
依存症と聞くとアルコール、ドラッグ、ギャンブル、またはセックスを連想されると思いますが、それら依存症の原因となるものと、生理学的に同様の影響が与えられるスマホを、私たちは常にポケットやバッグに携帯しています。そして薬物依存症患者のように、スマホが見当たらないだけで、まるでスマホがないと生きていけないくらいに、慌てふためきパニックに陥ります。
お酒やギャンブルは若年層には禁止されていますし、薬物に至ってはそれを使うことは犯罪です。でも依存症の原因となるスマホは、誰にでも手に入るだけでなく、もう既に誰しもが身につけています。子どもたちも持っています。
そして社会でそれが許されています。しかも多くの家庭で、親が子どものスマホ利用時間を制御する事ができない問題を抱えています。
大昔、人間が生きていくためにドーパミンが分泌され、人は身体を動かし生き抜いてきました。ドーパミンによって心地よい状態が作られることで、人は動機付けられ、狩りをしたり木の実を見つけてサバイバルしてきました。
今同じ事が私たち、そして子どもたちの脳内で起こっています。スマホによってドーパミンが分泌され、またその心地いい状態を得るために、スマホを使い続けています。
人間が生きるために必要であったドーパミンは、現代ではスマホによって、生産的なことに生かされるのではなく、人は非生産的になり害を与えられています。このことは個人の問題ではなく、日本社会、いや世界全体の「人類の問題」と言っても過言ではないでしょう。
©️ランディー由紀子