先月、山鹿まで馬のプログラムにいらした方からの感想をシェアさせてください。この方は子どもや若い人向けに、ホースセラピープログラム(心の方)をやっていきたいという、志をお持ちの方です。

「旅」の始まり

今回、由紀子さんのもとにお邪魔させていただいた目的は明確でした。それは、「馬と非言語でコミュニケーションができるようになる」こと。

ホースヒーリングのHPで、

「馬と心が通じ合うようになりたい」と思っている方、馬とテレパシーで意識が通じる練習をしませんか?(中略)表面のテクニックではなく、意識と身体を繋げて、非言語で馬とコミュニケーションするにはどうしたらいいか、できる限りシェアさせていただきます。

を読んだ時、「これだ!これこそ私が永年求めてきたものだ!!」と思ったのでした。

そして迎えた山鹿での3日間。左脳優位でずっと生きてきた分、「身体で感じるなんて出来るわけがない」と思い込んで生きてきた分、そう簡単に馬とテレパシーでコミュニケーションできるものではない、ということを思い知らされた3日間でした。

初日から、由紀子さんから鋭く厳しい指摘をいくつもいただきました。

例えば、指摘されたことに対して頭で色々考えながらも、必死に自分で身体を整えていくうちに、「あぁ、やっと人間らしくなったね。今までロボットだったもんね。」と由紀子さんから仰っていただけました。

そして、念願だった馬たちとの最初の出逢いの時も、仔馬たちにご挨拶する際、これまで本で読んだり、人から聞いたりしていた通りに(=頭で理解している通りに)、仔馬の前に立って鼻の前に手の甲を差し出して「こんにちは」とやったら「それじゃ、怖い!」と由紀子さんからのひと言が。

呼吸を整えてそっと近づき、そっと触れることを教えていただきました。確かに、その時の私は、仔馬に逢えて嬉しくて浮き足だった状態で、挨拶をする「やり方」にばかり意識が囚われていて、自分の「あり方」にはまったく無頓着でした。

スタートからこのような状態ではありましたが、3日間を通して由紀子さんから様々ご指摘いただきながら、薄紙を一枚一枚剥ぐように、自分の本質に向かっていく「旅」が始まりました。

グスタフとハンツが2頭並んで繋留されている中で、グスタフのブラッシングをする、という場面があったのですが、グスタフとハンツがふざけながら噛み合い始めた時に、私は「ダメだよ、グスタフ、ハンツ!」と言葉を発しながらその行動を止めさせようとしていました。

その時に、由紀子さんからその指摘があったのですが、“目から鱗”の思いがしました。馬とコミュニケーションしたいなら、我々人間が言葉のない世界=馬の世界に入っていかなくてはなりません。

由紀子さんから「馬を人間の世界に引き込もうとするのではなく、人間が馬の世界に寄り添わなければ」と教えていただいた時、自分の中で根本的に欠けていた「愛」に気付かされました。

そして、忘れてはならないのは、馬と共に自然(nature)がそこにある、ということです。

外乗や馬との散歩の時に山の中に入っていきましたが、静寂な山林の中に蹄の音が鳴り響き、鳥のさえずりが時折聞こえ、ひんやりとした風が頬をなでる。

都会での日常に忙殺され、自然を感じることから切り離された生活を送ってきた私にとって、馬と共に自然の中を歩くこの経験は至福のひと時でした。

「幸せだね」とわざわざ言葉に出さなくとも、ただそこに在ること、馬と自然という「いのち」をそこに感じられることが、真に豊かに生きていることなのではないか、と思いました。

この3日間で、「馬と非言語でコミュニケーションができるようになった」とはまだ、言えません。しかし、そのエッセンスが何なのかは、分かった気がします。

私の新たな人生の「旅」が始まった――そんな3日間でした。